オリーブ(学名:olea europaea)は、地中海周辺が原産のモクセイ科の常緑高木です。食用や採油用などの用途、地域ごとに栽培される品種の違いがありますが、いずれも木の高さは5メートルほど、乾燥し痩せた土地でも樹齢は1,000年を超えることもしばしばの生命力の強い木です。
花は5~6月頃に咲き、果実は11~12月頃に収穫します。オリーブオイルは多くの植物油と異なり、種子から圧搾するのではなく、果実をすりつぶし圧搾して採ったジュースから分離して作られるため、オイルづくりも果実の収穫の時期に行われます。
オリーブの栽培は紀元前3~2,000年頃から始まったといわれ、果実は食用やオイルの原料として用いられました。特にオイルは食用はもちろん、傷の治療薬、マッサージオイル、香油の基剤、灯りの燃料としても生活に欠かせない貴重な存在となっていきました。
このようにオリーブは、人に健康や生活の安寧をもたらすこと、一年を通して緑であること、沢山の果実を実らせるさまは、まさに生命の樹であり、豊かさや平和の象徴とされるようになりました。
たとえば古代ギリシアでは知恵の女神アテネのシンボルとなり、
旧約聖書ではノアの洪水の後に鳩がオリーブの枝を咥えて運び、陸の発見を知らせるエピソードが生まれました。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教では、儀式や神前に用いる聖なる油とされたことなどからも、オリーブが地中海周辺や中近東など西欧文明が生まれた地域で、広く尊ばれたことがわかります。
「生命の樹」の果実から生まれたオイルならではの、新鮮な若葉に似た心地よい香り、奥深い味わい、その高い栄養価、肌には素晴らしい手触りと効果。さまざまな働きによって人の心も体も豊かにする、古くて新しい素材としてのオリーブオイルは、今では世界中でもっとも良く知られ、広く愛される植物オイルとなっています。